クリニック新築の流れ 【第3回:「ていねいな監理」がもたらす3つのメリット】
- 0-1. クリニック新築 打合せの流れ
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クリニックの新築時、院長先生が知っておくべき
打合せの流れを3回シリーズでご紹介しています。
今回は最終段階の第3回、
工事中に行う「工事監理」がテーマです。
- 0-2. 「監理」とは?
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建築士の業務として、設計とは別に
「工事監理」という業務があります。
これは法律で義務付けられた業務で、「工事を設計図書と照合し、
それが設計図書のとおりに実施されているか
いないかを確認すること」を言います。(建築基準法、建築士法)
一方、同じ「かんり」でも
「工事管理」とは業務が区別されています。
工事管理は言わば現場監督の役割で、
工程調整や材料手配、職人さんの采配を含めた
工事の統括を意味します。建設をする当事者である「管理者」とは別の立場から
お施主様の財産である建物をチェックするのが、
「監理者」である建築士の役割です。「監理」は設計に比べ認知度の低い業務ですが、
実は設計内容を100%工事に反映させるだけでなく
それ以上の水準にまで
仕上がりを高められる可能性を秘めているのです。このことを前提にした「ていねいな監理」は、
クリニックを新築する院長先生に
以下3つのメリットが提供できると考えています。
それぞれについて、具体的にご紹介します。【目次(3つのメリット)】
1. 建築基準法の要件を満たす
2. 建物の価値がさらに高まる
3.実際の建物を前に最終確認できる
- 1. 建築基準法の要件を満たす
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クリニック新築の際には
建築基準法で定められた完了検査を受ける必要があり、
検査の申請書にも監理者の確認欄が
各種法令ごとに設けられています。構造に関すること(地盤や基礎、部材の接合など)、
室内環境に関すること(換気条件や内装材など)、
インフラに関すること(給排水や電気など)
などが代表的な確認項目です。これらは実際にも人体の安全や健康に関わる
非常に重要な項目であり、
万が一工事の都合等で変更されてしまっては、
小さな変更でも大きな欠陥になるかもしれません。
しかも建物の完成後には目に見えず、
お施主様が最も気付きにくい部分でもあります。
監理を行う建築士として
工程に沿って現場に足を運び、
材料受入確認や寸法計測、施工確認により
シビアな目で図面と照合しています。
- 2. 建物の価値がさらに高まる
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監理の仕事は、
これから施工する部分の「施工図」を
建設会社より受け取るところから始まります。
「施工図」は、設計図をさらに詳細にした図面。例えばタイルの割付などは
あらかじめ設計図書に図記しておきますが、
さらに目地の具合や他の部材との取り合い、
電気・機械設備との位置関係などを網羅し、
1ミリ、1/10ミリ単位で図面化されます。そんな「施工図」が設計で意図した通りに
なっているかを確認し、ときに再検討することで
デザインのディテールや各所の使い勝手など、
完成後の建物で過ごす方々が
日々見たり触れたりする部分を最終調整します。施工図の提出枚数や内容に関しては規定がなく
建設会社の判断によるところが大きいのですが、
このような細部に関する価値観を共有し、
検討のキャッチボールができる施工者さんとの連携が、
設計事務所の業務にとって肝となります。現在進行中の住宅の工事では、
建設会社さんが多くの枚数・種類の施工図を
提出してくれます。
タイミングに関しても
こちらの検討時間を十分に考慮したもので、
限られた工事期間の中では
そう簡単にできることではありません。「共に良いものを創ろう」という姿勢をもって
連携できることにいつも感謝していますし、
お施主様にはこのような建設会社を施工者として
選出・推薦しています。↑監理中の住宅工事の施工図。
まだ工程の前半ですが、
これだけの量を建設会社さんと協議しました。いわゆる「段取り八分」は
まさに建設工事においても言えること。
施工前にあらゆる側面から丁寧に調整するからこそ、
品質が良く美しい建物が出来上がるのです。
- 3. 実際の空間でお施主様に最終確認してもらう
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設計段階では
お施主様に完成後の建物をイメージいただけるよう、
模型や完成予想図など、設計時に準備しうる材料は
惜しみなく提示しています。
それでも、実際の空間が持つパワーのようなものは
建物が建ってみないと感じることはできません。そのため、予算や工期に影響の出ない範囲で
「あえて決めない部分」を設計で作っておくことが
あります。クリニックの工事現場でも、
建物の骨格が出来てきた現場で
院長先生と打合せをすることもしばしば。
診察の流れなどを実物スケールの中で共有しながら、
内装の色決めやパーツ選びをして
クリニックの雰囲気を仕上げ、最終確認しています。
- 4. まとめ
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「きちんとした監理があってこそ、
設計した建築は日の目を見る」
と業界内では言われるほど大切な監理業務。
建物の価値を最大限に引き出すことを目標に、
時間の限りベストを尽くしています。今回のコラムでは
クリニック等医院・福祉施設開業時の
建物新築打合せについて
時系列順、3回に分けてご紹介しました。次回以降のコラムでも
医療福祉施設の計画にお役立ていただける情報を
発信していきます。なお、全体の流れについては、
「設計の流れ・よくある質問」
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この記事は私が書きました
WARAKUSHA代表 一級建築士・管理建築士
メディア掲載