こんにちは。
スタッフ 里沙です。
先日とある照明関係のセミナーで、
気象予報士さんによる自然光の色の話を伺いました。
日本の街を彩る照明も
高度経済成長時代はカラフルなネオン系が目立っていましたが、
エシカル、サステナブルといった地球にも人にも優しい要素が
改めて見直されている今、
よりナチュラルな色が選ばれるようになっているのは
皆さんも実感されているかもしれません。
このような社会的背景から、照明計画を立てるにあたり
今一度自然界の仕組みを知っておこう、
という趣旨のセミナー構成だったのです。
日常生活の中で「自然光」と聞くと、
私はつい青空や日中の白っぽい光で
想起が終わってしまうのですが、
セミナーを聞いて、
自然光にもあらゆる美しい色彩があることを
徐々に思い出してきました。
たとえばこちら。
これはイタリア・フィレンツェに行ったとき、
早朝ランニングで感動して撮った空なのですが、
このような幻想的な空が見られる時間帯は
日の出前や日の入り後。
「マジックアワー」と呼ばれたりしています。
日本語では「薄明(はくめい)」といい
太陽の段階別に3種類に分けられます。
1.天文薄明
日の出前・日の入り後 約90分時点。
空の明るさが星明かりよりわずかに明るい程度。
2.航海薄明
日の出前・日の入り後 約60分時点。
地平線、水平線を視認できる目安。
3.市民薄明
日の出前・日の入り後 約30分時点。
市民(皆)が照明なしに外で活動できる明るさ。
フィレンツェの写真のようなピンク~紫の空の色は、
「市民薄明」の時間帯によく見られるそう。
太陽には様々な色の光が混ざっているのですが、
色によって光の波長に長短があります。
(資料:東邦大学 生物分子科学科「高校生のための科学用語集」)
昼間の空が青いのは、
先に波長の短い青系の光が大気層に届き
強く散乱しているからなのだそう。
一方で太陽の位置が低い「薄明」の時間帯は
大気中を通る太陽光の距離が長いため、
波長の短い青系の光が私達の目には届かず、
波長の長い赤系の色だけが見えるのだそうです。
「薄明」の写真でもうひとつ。
こちらは昼の青空でなく、
「航海薄明」と「市民薄明」をまたぐ時間帯の空です。
この時間帯の空で建物写真を撮ると
とても美しく映るとのことで、
私達のお願いしている写真家さんが
朝4時30分集合で撮影してくださったものです。
カラフルながら
日の出前の静けさや神聖な感じが表現された、
とても表情豊かな写真です。
色彩も造形も佇まいも、
私達人間は自然には到底かないませんが、
共に惹き立て合えるような建築づくりに携われるよう
自然と仲良くしながら精進したいと思います。
さしあたり、今日の空も楽しみです。
(スタッフ:里沙)